対向液圧成形法

 金属の薄板を成形する際、一般的なプレス成形では成形したい材料を上型と下型で挟んで加圧し成形します。対向液圧成形法は、一般的なプレス成形と基本的に同じ構成ですが、上型と水を満たした下型で加圧して成形する工法です。 上型のパンチが下降して成形が進行するにつれて、下型に溜めた水に圧力が発生し、材料はパンチに対し面直方向に押し当てられながら成形されます。 慣用法ではパンチとダイに依存した形状となりますが、対向液圧成形法では基本的にパンチのみへ依存した形状となります。

 これまでのプレス成形では、上下型が材料を挟んでから閉じるまでの間に、金型と材料の接触部から突っ張って局所変形が起き、材料の板方向に力が作用することで成形後のバックが発生していました。一方、対向液圧成形法では、パンチと材料の非接触部にも水圧が板厚方向に作用することで局所的な伸びを抑制し、成形後のバックが小さくなります。これによって、局所的に変形していた部分の板厚減少量が小さくなり、より深く絞ることができます。また、ブランクホルダ部の材料を流入させることで成形性や品質が向上し、材料はダイに接触しにくい為、キズが少なくなります。

 一般的なプレス成形と比べ、1枚あたりの成形時間は多くかかりますが、成形性や品質の向上により材料のグレードダウンや工程の省略、これまで成形できなかった形状の成形などが期待できます。また、試作や少量生産などの部品に対して特に有効な工法です。


POINT

1. 板厚方向への力の作用により板厚減少の抑制

2. 成形性と品質の向上による材料のダウングレード

3. 材料とダイが接触しにくいため、表面キズが減少

4. 液圧により面直に加圧しパンチ形状を転写

5. 板厚方向と板方向に力が作用しスプリングバックを抑制

6. 板厚減少を抑制したことで、より深く絞ることが可能

慣用成形と対向液圧成形の比較図

成形事例



運用事例